誰よりも自分を粗末に扱う癖に、他人に粗末に扱われることには耐えられない。情けないねえ。
高校時代に一度だけ、人前でキレたことがある。
いつもみたいにアホみたいなノリでイジられている時、何かの拍子に、入ってしまった。何も言葉が出て来なくて、体も固まって、壊れてしまった。室温も一気に下がった気がした。マジで30分くらい誰も喋らないし動かない状態だったと思う。あの時は気づけなかった。自分がどれだけの自分を殺してきたのか。
そして大学。特に何も考えずに臨床心理学科に入ったけど、あれはもう必然だった。殺してきた自分たちが、気づいてくれ!って向かわせたんだろうな。
そこでも俺は殺しまくってしまった。無理してでも明るく、人と仲良くすることが正しいことに思えた。でもただの憧れだった。俺の本質はカオナシだ。沼の底でひっそり暮らすのが自分にとっても周りにとっても自然なんだ。
でも、悲しいじゃないですか。悔しい。人になりきれないのに、諸々の欲望だけ人並みにあるなんてあんまりだ。俺には彼の気持ちがよくわかる。あの勝手に裏切られ、のたうち回る姿、嘔吐、小さな手。
いいよ、生きてたって。生きようよ。でもどうやって?何があると言うの?自問自答?してないよ。悲しみの底に手をついて浮上しようとしてるだけさ。そうやってやり過ごしてきた。解決など何の役にも立たないのだから。