今日は疲れたのでオフ!
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晴れた空だ日曜日。声にならない会話をする。喋らないことで、むしろたくさん伝わってくる。と、思っているその何割かは僕の我の詰まった幻だろう。今この時間を楽しむ。
ギンヤンマが飛んでいる。空から垂れてきた釣り糸に吊られているみたいに、ピタッとその場に、羽根だけ動かして浮かんでいる。獲物を狙っているのかな。ただ気持ちいいから遊んでいるのかな。
影とも仲良く一緒に生きていく。消してはいけない。光の当て方次第でいいのが撮れるはず。
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月明かりが浮き上がらせる薄く広がった鱗雲の海、静な貯水地の記憶、ツーブロックに伊達眼鏡の馬鹿。静かなノイズが聴こえてくる。
みんな学生時代に戻りたいと言うけど僕は、もう、いいです。お腹いっぱい。いや、まだガキだからかもしれない。素敵なおっさんになりたいです。30になったらささやかな髭を生やしたい。細身で髭のおっさん。目が悪くなったら鯖江までちょっといい眼鏡を探しに行こうかと思う。今のところ気配すらない。
すばらしい日々の子犬のお話を読んで、なんか、うれしくなった。何かと生きる理由や意味を押しつけられるけど、そんな大げさなのは疲れる。心と身体をばたばた動かす。気持ちいいし、悲しいし、美味しいし、腹立つ。うれしいな、もっともっとこの身体で、心で、遊びたいよ。それでいい。今、シンプルです。子犬並みにかわいいです。アラサー。
現像ができた。フィルムスキャンは何をどう撮ったのか思い出すのと、思いがけない偶然を発見できる作業です。
さあ編集だ。
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いつもより少しボリュームを上げて、どっぷり浸かる。当たり前の愛を貫くよ。
寝転がっていたら脚にぞわっとした感覚。明かりを点けると、小さなクモが這っていた。殺さずそっと逃がす。クモはあんまり大きくなければ平気だ。小さい頃は生き物が好きだった。特に水の中に住んでいるやつ。ゲンゴロウとナマズとフナを飼っていたはず。みんな餌は一緒。金魚の餌。一生懸命食べる姿が好きだ。
逆立ちを30秒。柔軟運動。水飲もう。健康オタクにはなりたくないけど、気持ちよく暮らせるくらいの身体でいたい。筋肉が最高の下着。とは誰の言葉だったか、忘れちゃった。
青すぎる空。赤や黄色が葉っぱに吸いとられて落ちていく。アンテナを張る。祈る。
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まだ眠りたくないよ、と虫たちの声。いつでも土曜日の夜。
風呂マットを干して、はらった埃が舞う様子をぽかんと見ていた。朝日。埃もストレスと一緒でダマになっている。その中身は糸クズに誰かのすね毛にレシートの端切れ。なんてことのないものたち。でも積もり積もってネズミみたいになったのは、なんだか汚く感じる。かじられそうだ。よくよくはらって部屋に帰る。
今、月の形は、オレンジ色の半月。この後満ちていくのか欠けていくのか、そんなことはもう決まっているし、すぐ変わっていくけど、ついつい占ってしまう。気づくといつも答えのないものばかり求めているから、少しだけ明かりがほしいんだと思う。
力を抜くってこういう感じなんだな、と実感できている。音楽にも本にも映画にも、すっと入っていける。切羽詰った状況の中にも、必ず隙間があるんだと思う。目には見えない隙間。目には見えないけど、目をつぶってはいけない。さっきくるりの新譜が届いた。今夜はどっぷり浸かりたい。
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猛暑で動けなかった分うずうずしていたのか、蚊が大量発生している。屋内で、ひとつの視界に5、6匹の蚊が飛び交っている光景は結構カオスだ。でも涼しいから動きが鈍いし、刺す力も残っていない。今年は蚊も人間も大変だな、と思う。
希望はない。絶望もしない。明るくも暗くもなく、ただそこにあるものを手に取って眺める。その温度。何のためでもなくて、書きたいから書く。分析はいらない。放し飼いにしてね。
キジの日の計画を考えている。頭の隅っこで。鳥だからやっぱり空を飛びたいところ。来年あたり実施したい。そしたら桃太郎、そいつをこっちへよこすんだ…!映画化したい。
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日が昇るのが遅い。まだ暗い内に起きて、ご飯と味噌汁を用意する。味噌汁にはその日のコンディションが出る。だめなときはまずい。じゃこの状態、味噌の量、味噌を入れるお湯の温度。そんなあれこれはいちいち考えず、感覚でやっているから尚更。今日は、まあまあ。ほんの少しのだしの素でごまかせるレベル。
上司にマシンガントークの、大阪のおばちゃんがいる。よく話をするけど毎回、この人と歳が近かったら恋してただろうなーと思う。自分のことばかり喋っているような嫁さんがほしい。おしゃべりな人が好きだ。たまに怒られたりもしたい。ごちゃごちゃに散らばる話を整理する側に回りたい。僕は生み出せないし、何より話を聞くのが好きだから。
久々に晴れた。天使の羽根。夏と秋が入り混じったような雲。コオロギの声が大きくなっていく。
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夜からずっと小雨。朝起きてまず、箱の中をチェックする。空の日が増えていくことに寂しさを覚えつつ、きっと楽しく暮らしてるんだろうな、と自分勝手な期待をする。枕元に置いてある、大切な写真に向かってお祈りをする。あなたにとっていい一日でありますよーに。
僕の宗教は朝夕神様にお礼をする。これに関しては素直にいいな、と思う。信仰だな、と感じられる。今、ここに、この身体で生きているということ。不思議だけど忘れてしまっていることに感謝する。別に宗教じゃなくてもいいのにな、と思う。
写真へのお祈りは、とても個人的な信仰。効き目は知らない。ただ自分の中でしたいと思うからさせてもらっている。眠る前にも。あなたが安心して眠れますよーに。
梅雨が短かった分、今降っているのかもしれない。何もしなくても、自然とバランスが取られていく。僕の思いは、ほんのすこしでいい。
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昨晩出されたサイダーみたいな日本酒についつい飲まれてしまう。寂れた地方の商店街、締めのちゃんぽん、ハイライトの味。ゆらゆら揺れている。目が覚めるといつもと違う雰囲気。固い床の感じ。脱衣所さんおはよう。
雨がトタン屋根を叩く音が聞こえる。天気予報に勝ってしまったことを知る。ぬるくなったお湯に浸かり、部屋に戻って二度寝した。
近所を歩く。もう活気の戻らない風俗街を通って、本屋で目についた本を買って、ラーメン屋は人だらけで息苦しい。急いですすって、すぐに出た。霧雨で撮りづらい。でも雨の街なんてそうそう撮られないだろう。普通の雨の日なんて。
もう一度パターソンを観る。素敵だ。風景を変えてくれる。日常が愛しく感じられる。ハッピーエンドもバッドエンドも、物語の中だけにある。日常は地続きだ。波があるのは、しっかり生活しているということ。毎日を味わっている。
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あー暗い気持ちには限りがないな。気づいた。悲しくてもそうじゃなくても、暗い気持ちには限りがない。宇宙はほとんどが暗闇だからね。適当なことを言ったね。つまりその、隠さなくてもいいけどキリがないよってことだ。
絶望も希望もいらない。裸と笑顔と花畑がほしい。あと美味しいもんと酒とたばこと…キリがないよってことだ。ループ。歩いて行きましょう。続けていればなるようになっていくから。僕の感覚よりずっと信頼できる。沈んでは浮いてのこの毎日が証拠。
行ってみよー。