大学院の実習で箱庭を作ったことがある。たしか、線路やら柵やらたくさんの境界で囲われた池の真ん中に、一頭のシロイルカのフィギュアを置いたんだよな。
あの箱庭にストーリーなんて込めなかったけど、きっと意味があったはず。教授も何か言いたそうだった。もっともそれは線路や柵についてかもしれないけど。
俺はあのシロイルカが心の中にいることを信じる。たぶんそれで持っているんだ。ギリギリ生きていけている。目まぐるしく変わる気分をじっと見つめてくれている。
ていうか実際に野生のイルカとかクジラとかと泳ぎてえ。声聴きたい。水の感触。泡の音。差し込む光。ああ、海潜りてえ。