あと、何ができるだろう。もう光など見えない。闇も忍び寄っては来ない。全てが余所余所しく俺の顔を見下ろしてはただ通り過ぎていく。そのことが何となく気に食わないけど、どうせ話すことも無いのだしこれでいいのかもしれない。
Q.あそこに咲いているのは白丁花ですか?
A.いいえ。あれは今、あそこに、咲いている白丁花です。
あの日、あの花を見つけたときのことをふと思い出した。もう二度とあの花を見つけることはないだろう。もう見つからないのだ。あの花は。
あの日。あの場所。あの晴れ間。あの想い。ああ、なんて特別だったんだろう。そうだ。あの体験ができただけで、生まれてきた意味は十分あると断言できる!
死んだらきっと、つまらないのだろうね。意識はどうかわからないけど、感覚なんかはきっと無いだろう。身体が無いものね。見えないし、聞こえないし、匂えないし、味わえない。生まれ変わるまでどうやって暇を潰すんだ!死んでしまう!!死んでるけどな!!!とか。
やっぱり、生きていたいよな。また何かあるかもしれないし。